写経

法然上人について

浄土宗は法然上人(法然房源空)によって承安5年(1175)に開かれました。法然上人は、ただひたすら「南無阿弥陀仏」と唱えれば立場や身分の違いなく誰もが救済されると説かれました。阿弥陀仏のお慈悲は生きとし生けるものすべてに平等に注がれており、お念仏を唱えることでその救いをうけることができるという「他力」の教えです。当時の仏教は貴族や武家を中心に、過酷な修行を経た者や、財力のある者だけが救われるという考え方が主流でした。法然上人が広められたこの新しい教えは、瞬く間にあらゆる階層に受け入れられました。法然上人がこの世を去られてから800年が過ぎたいまも、お念仏の普遍的な教えは私たちに多くのことを伝えてくれます。今日を生きることによろこびを感じ、明日への活力を生むこと。法然上人の教えは、そうした根源的な生き方の指針なのです。
法然上人は人の心は池の水に似ていていると申しております。庭の池は、きれいに澄んでいるかと思うと、天候によってたちまち濁ってきます。人の心もそれに似ていて、信仰の喜びに包まれているかと思えば、次の瞬間には煩悩の心がわき起こってきます。何とも心もとないことですが、このような私であればこそ、ただ阿弥陀仏の本願力を頼み、お念仏もうすのであります。いつでも、どこでも、どんなときでもできるのが、南無阿弥陀仏のお念仏です。その御名のなかに生活しなさい、と教えられています。できるだけたくさん口に出してとなえるほど、私たちは仏の願いに近づくことになるのです。すると私たちは、すなおな心になり、今日の生活に必ず光がさし込んできて、活き活きとした平和なくらしができるようになります。それは明日の生活にもつづいて、立派な花を咲かせてくれます。法然上人の教えは、今生きることによろこびを感じることであります。

お念仏をとなえながら、充実した日々をお過ごし下さい。